少しハニカム構造体

ふみのつれづれ

夏の終わりの蚊は凶暴

どの季節がいちばん好きかと言われれば、私は断然、梅雨時だ。じめじめしていて、植物たちがむわあっと清潔な体温を発散させる。その匂いに包まれると、私はホントは人間ではなく植物に生まれるべきだったんじゃないかと思う。次生まれてくる時は、たとえすぐ踏み潰されて枯れちゃうような雑草でもいいから、植物がいいなあ、と思う。いや、もしかしたら前世は植物だったのかもしれない。

最近ショッキングだった話がひとつあって、それは、ゴキブリに台所洗剤をかけると死んでしまう理由が窒息だと知ったこと。私はてっきり脂分を取られて身動きできなくなる程度のことだろうと、長いこと思っていた。うちの父が病院で亡くなったその直接の死因が窒息死であったことを思い出して、私は金輪際シンクにゴキブリがいても洗剤をかけることだけはしないだろうと思う。

50過ぎて言うのも何だが、人間世界になんだか馴染めない感じ、私がそうである理由のひとつは間違いなく、父の何かを受け継いで、というか引きずっているからだと思う。まわりに合わせてうまくやれていても、仲間に囲まれていくらかの楽しさを享受しているはずなのに、ふとした瞬間なんだか違うという感覚が襲ってきて、私の居場所はここじゃないと思う。ふとした瞬間に訪れるその感覚の方こそが、私の本性なのだと思う。

話は違うが、職場であちこち蚊に刺される。夏の終わりの蚊は凶暴だ。